ここでは私自身の経験を踏まえて、アメリカ大学院への留学に関する準備・留意点について記します。
アメリカ大学院への留学に関して留学準備から入学・コースワーク・試験・論文執筆・学位取得に至るまで全般的なことを知りたい方は、まず最初に現在 North Texas University で勤務する前田耕さんがミシガン州立大に留学されていた頃の大学院留学体験記を一読することをお勧めします。なぜなら、今まで私が管見したかぎり、前田さんのサイトは大学院留学に関する情報が(リアルタイムの体験も含めて)一番整っていたからです。
また、アメリカの地理学に関する基礎を理解する上で、首都大の杉浦芳夫先生が書かれたアメリカ地理学史の変容に関する章を事前に一読しておくことを強くお勧めします。(杉浦芳夫. 2001. アメリカ地理学から『20世紀の地理学者』を読む. 竹内・杉浦編: 『20世紀の地理学者』 古今書院, pp. 311-332)
このページでは、アメリカ大学院全般に関する情報を書いた上で、地理学を学ぶ人が留学を希望する場合に留意すべきと思われる点を中心に記します。現在私の知る範囲で、日本人でアメリカ大学院の Geography Department に留学している人は数人いますが、日本に向けてアメリカ大学院の情報を発信している記録はまだ一度も見ていません。(あったらゴメンナサイ)
日本の地理学では、ヨーロッパやアジア研究に比べてアメリカ地域研究はあまり行われていませんが、世界をリードする(?!)アメリカ地理学界のもとで学ぶことを志す人が、将来増えていくかもしれません。そんなときに、以下の情報が微力ながら参考になればと思います。(一応おまけとして、最後に自分の体験談を記しておきます)
インターネット上には様々な留学記があり、私のサイトが他より優れているという保証はどこにもありません。その点は御了承ください。
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<総論> 1.準備 (1)TOEFL (2)GRE (3)出願上必要な書類 2.奨学金 <各論--地理学関連情報> <総論> 1.準備 (1)TOEFL (Test of English as a Foreign Language) 現在はコンピューターによる試験が主流となりましたが、その中では30分でエッセーを書く課題が一番大変かと思います。普段英語を書く習慣がない人は、ある程度訓練して臨んだ方がよいでしょう。なお、最近はいろんな英会話教室で「無料TOEFL模擬試験」たるものをやっているようなので、訓練を兼ねて受験することをお勧めします。言うまでもありませんが、TOEFLは何度でも受験が可能(ただし月1回)なので、一度点数が悪かったからといって嘆く必要はありません。というのは、何度か受験して最も高いスコアを提出すればよいからです。 大学院レベルの場合、多くの基準は550点(コンピューター方式だと210点?)ですが、大学によっては600点を必要とするところもあります。高い点数があった方がよいということは、言うまでもありません。投資額は高くなりますが、なるべく何回も受験することをオススメします。 (2)GRE (Graduate Record Examinations)
(3)出願上必要な書類
推薦状はあらかじめ執筆依頼者を決めておいて、事前に確認を取っておきましょう。書く側の立場になって考えればわかることですが、推薦状は「書いてくれ」と頼まれても、すぐ書けるものではありません。推薦状執筆を依頼する相手(指導教官も含む)には、なるべく頻繁に連絡を取って、十分時間的な余裕をもって書いてもらうのが良いと思います。推薦状を書いてもらう相手は、自分のことをよく知っている人が望ましいです。推薦状執筆をお願いした方が日本でいくら有名な方であったとしても、海外の人はそのことを知らない場合がほとんどです。むしろ、自分をよく知っている人にしか書けないような推薦状の方が、書類審査を受ける際に出願者(貴方)を理解してもらいやすいです。これも早めに準備しておく方がよいということは、言うまでもありません。 大学・教官によっては、推薦状の素案を学生に要求するケースがあると聞いたことがあります。(どのくらい行われているかは知りませんが・・・) 万一自分で自身を推薦する文章を書く場合は、必ず誉め過ぎるぐらいの内容にするのが重要です。日本人の感覚だと「これはちょっと大袈裟かな・・・」と思うことはあっても、アメリカでは第三者の評価を重視するので、大袈裟な褒め言葉が凶となることはあまりありません。逆にいえば、「出願者本人が自身の推薦状を書く」ということは通常考えられませんから、他人のフリをして自分をアピールする(?)大きなチャンスとも言えるでしょう。 2.奨学金 一つだけ確実に言える事は、奨学金の種類やネームバリューを理由に応募を諦める話をよく聞くのですが、これは非常にもったいない話です。言い換えれば「とにかくどんどん応募してみることが、奨学金獲得へ最短の道である」と言えます。応募するのにかかる費用は郵便代とコピー代と時間だけです。書類準備・作成は往々にして面倒なことが多いですが、結果として得られるものは、これらの労力よりもずっと大きなものです。あまり意識せず積極的に出願してみることをお勧めします。 <各論:地理学関連情報> 1.出願先を選ぶ (1)はじめに 博士課程のある大学で、かつ地理学教室 (正確には Department of Geography) のある大学を探す場合、歴史学や経済学に比べて大学の数は絞れてきます。しかし、本当に大事なのはここからです。 地理学分野でアメリカ大学院に留学する場合注意しなくてはいけないのは、その学校の傾向です。日本の地理学教室と同様に、フィールド重視の大学(UT-AustinやLSU)、GIS中心の大学(UCSBやSUNY-Buffalo)、理論系に強い大学(Washington)など、同じ Department of Geography という看板の元でも教わる中身や学風は全く異なります。ネームバリューにとらわれず、自分の学びたい分野・地域・手法をよく考えてから留学先を決めるのが大切です。 (2)情報の入手 b. Internet Resources 大学の数は限定されますが、まとまった数で参考になるのは、Penn State が紹介しているランキングです。ここに記載されている大学は、いずれも博士課程まである地理学教室です。このリストは1995年の合衆国調査による地理学教室ランキングから構成されているものですが、ランキングはひとまず気にせず、ここに挙げられている大学の地理学教室ホームページをまわって、簡単に目を通すことをお勧めします。その中から、大まかで良いので、計量-地域分析系・GIS系・理論系などと分類してみてください。ここで、自分にとって興味のある教室およびスタッフをピックアップして、リストを作成します。スタッフの専門分野は必ず目を通すこと。無知の状態で渡米すると、留学先で苦労します。この下調べ過程で、出願先がある程度絞れてきます。 一つ注意しなくてはいけないのは、地理学教室によってホームページの更新頻度が異なるということです。頻繁に情報更新を重ねている教室もあれば、1年以上情報が更新されていない教室もかなりあります。最新の情報を入手するためにも、絞れてきた候補の地理学教室宛に資料・大学院案内を請求することをお勧めします。多くの場合、各々の地理学教室は無償で願書を含めた案内一覧を送ってくれるはずです。 c. Journals and Publiscations 日本の大学院で地理学を専攻した人ならば、ある程度英語の文献を読んでいて、興味ある研究がいくつかあると思います。自分の持つ文献リストから、気になる地理学者を拾って追ってみると、いくつかの地理学教室が浮かび上がってきます。また、最近の雑誌 (Annals, Environment and Planning, Economic Geography, Geographical Reviewなど)のページをめくって、どの大学の人がどんな論文を書いているか、ある程度傾向をつかんでおくのも大切です。 2.エッセーを書く・自己アピールをする
地理学分野で留学する際、 essay で気をつけるべきことは「なぜ自分はこの大学院に出願するのか」を明確に書くことだと思います。上記の出願先選定過程で綿密な調査をしてあれば、自分が出願する先が他の大学と何が違うか、ある程度わかっているはずです。Essay 内で自分のテーマ・関心を当然書くわけですから、それをサポートするためにも、「なぜこの大学院で学びたいのか」をしっかり書けば、読む側の審査員にも出願者のイメージが理解しやすくなります。可能ならば、指導を希望する教官名を明記しておくと良いと思います。他の研究分野もそうかもしれませんが、前記の通り地理学の場合は教室によって研究のカラーがはっきりしています。そのツボを押さえて出願・essay 執筆しないと、我々日本人よりもっと達者に文章を書くアメリカ人には、選考の際に勝てません。 3.下見に行く 下見のメリットは顔見せだけではありません。コンピューターなど施設の整備状況、院生室の存在や研究環境、大学院生の様子、教官の人柄、大学周辺の環境などなど、インターネットのホームページやAAGのディレクトリではわからなかったことが、いろいろ見えてきます。ここで得た印象が、出願先を選定する際に実感を持って検討できると思います。 4.・・・二村太郎を事例として 私の場合、留学の準備らしきことをはじめたのは、 大学院修士1年目 (1998) の秋。このときはTOEFLを2回&GREを1回受験したほか、インターネット上の地理学教室HPをひたすらネットサーフィンして、願書を取り寄せる。しかし準備を始めたのが遅かったことと志望の根拠がはっきりしていなかったことから、出願は断念。 大学院修士2年目 (1999) の夏に、とある奨学金に応募したが、書類選考で不合格。修士論文を抱えていたこともあって、この年は資料集めも出願も断念。 修士論文を提出してまもない頃 (2000) 、近場で応募できる奨学金の情報を聞き、出願。同時にGREやTOEFLを受け始める。ただし全然勉強してなかったので、点数はあまり伸びず。夏には、前年に落ちた奨学金に応募する。同時に情報収集を再開。地元主催の奨学生として採用される。 秋、手当たり次第願書を取り寄せる一方で、出願先を絞り始める。私の場合は農業・農村・文化地理学関係で、国内研究を専門としフィールドと理論の両面から教えられる地理学者がいる大学院に留学したかったため、そのことを年頭におきながら出願先を検討した。最終的に選んだのは8校。出願先と指導を希望した教官は以下のとおり (ABC順)。 3月14-25日に下見&挨拶のため渡米。不合格の理由を説明してくれる大学もあれば、合格して熱心に誘ってくれる大学もあった。中には、「貴方にはFundingが与えられないから」を理由に当初不合格となった大学院もあった。その大学は下見に来て知ったのだが、私が日本で獲得した奨学金情報が地理学教室の選考過程で届いてなかったという、大学院課の不手際が生じたために起きた悲劇的(?)選考結果だったらしい。普通ならそんな相手には怒ってこっちが却下するのだろうが、実はここが三大本命の一つだった。下見後に合格の結果を受けて、迷わずここに決定。 **おわりに** |
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